「バスが遅すぎる」 NY市長が街路計画を再始動――速度「20%改善」で都市の“時間”は取り戻せるか?
ニューヨーク市長マムダニ氏が中断されていた街路計画を再始動。平均時速12.9kmのバスを最大20%高速化し、年間40時間相当の移動時間を市民に還元。公共空間の再配分で都市経済と生活の効率を根本から変える挑戦が始まった。
勝者と敗者の境界

今回の施策で利益を得る人々ははっきりしている。バスを頼りに通勤する人々や、学校の周りを歩く歩行者、そして短い距離を自転車で移動する市民だ。反対に、車で来る客に頼る一部の商売人や、街を通り抜けるだけのドライバー、路上駐車を使って仕事をする事業者は、状況が変わることによる負担を負うことになる。
しかし、各地の事例を詳しく見ると、道の使い方が変わって歩行者の回遊性が高まったことで、沿道にあるお店の売り上げが回復したり増えたりしたケースが少なくない。
実際に、マンハッタンで導入された渋滞税は、最初の1か月だけで当初の予想を大きく上回る4860万ドル、日本円で約70億円もの収入を市にもたらした。周辺を歩く人が増えたことで、実店舗を構える小売店には良い効果が出ている。
またフランスのパリでは、2025年の4月に市内の主な移動手段として、自転車の14%が自動車の11.8%を初めて上回った。この差はラッシュ時にはさらに広がり、自転車が18.9%に対して、自動車はわずか6.6%となっている。短期的な不利益と中長期的な利益が生まれる時期がずれることが、対立を長引かせる原因となっている。