「バスが遅すぎる」 NY市長が街路計画を再始動――速度「20%改善」で都市の“時間”は取り戻せるか?

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ニューヨーク市長マムダニ氏が中断されていた街路計画を再始動。平均時速12.9kmのバスを最大20%高速化し、年間40時間相当の移動時間を市民に還元。公共空間の再配分で都市経済と生活の効率を根本から変える挑戦が始まった。

計画中断の背景

NY市リトリイタリーの一角(画像:写真AC)
NY市リトリイタリーの一角(画像:写真AC)

 今回マムダニ市長が再び動かし始めた計画は、もともと2019年に決まった「ニューヨーク市街路計画」を引き継いだものだ。それにもかかわらず、アダムズ前政権の下でいくつものプロジェクトが途中で止まってしまった。

 その背景には、主に三つの層による強い反対があった。まず、客が車で来られなくなることを不安視した沿道の商売人、次に走れる車線が減ることに反発するドライバー、そして合意を取り付けるための膨大な労力を嫌った行政の組織内だ。

 特に象徴的なのは、リトルイタリー地区周辺のビジネス団体が、そこを訪れる人の8割が車を使っていると主張したことだ。これまでの市政では、働く人々の切実な要望よりも、有力者からの電話や一部の強い意見が優先されてきた。2024年には120ほどのプロジェクトが形になったが、街の骨格に関わるような重要な取り組みは、政治的な裏取引によって棚上げにされてきたのだ。

 道路の使い方を変えようとすれば、それまで有利な条件で利用していた人々から必ず不満が出る。その不満を調整しきれず、目先の混乱を恐れて動きを止めてしまったことが、街全体の停滞を招いていた。

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