横断歩道で止まらない車「4割」という現実――日本人は非情なの? 警察より効く10cmの“仕掛け”をご存じか

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日本の横断歩道で、歩行者が渡ろうとする際の一時停止率はわずか56.7%。死亡事故の7割が横断中に発生する現状を受け、物理的介入による「スムーズ横断歩道」が全国で注目されている。

ルールを知っていても守られない「歩行者優先」

横断歩道で手を挙げている子ども(画像:写真AC)
横断歩道で手を挙げている子ども(画像:写真AC)

 横断歩道では歩行者優先が原則であり、運転者には手前での減速や停止が義務付けられている。警察庁のウェブサイトにも明記されている基本的な交通ルールだ。車両は、横断歩道や自転車横断帯に近づいた際、明らかに人がいない場合を除き、いつでも停止できる速度で進む必要がある。歩行者が横断中、あるいは横断しようとしている場合には、一時停止して道を譲らなければならない。

 しかし、現実の道路ではこのルールが十分に機能しているとはいえない。2025年10月に日本自動車連盟(JAF)が公表した「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2025年調査結果)」によれば、歩行者が渡ろうとする場面で一時停止した車は

「56.7%」

にとどまり、約4割の車両は歩行者がいても停止しなかった。この実態は、運転者が自身の移動効率を優先し、社会全体が享受すべき安全の便益を損なっていることを示す。交通規範に基づく意識だけでは、停止による時間的損失を相殺できず、結果として事故リスクを高めてしまう。法的義務の周知や啓発だけでは、個人の行動を最適化することが難しい局面にあるのだ。こうした課題に対応するため、国土交通省や各地の警察が推進しているのが、

「スムーズ横断歩道」

と呼ばれる構造物を用いた実証実験である。この取り組みは現在、全国に広がりを見せている。

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