横断歩道で止まらない車「4割」という現実――日本人は非情なの? 警察より効く10cmの“仕掛け”をご存じか
全国でスムーズ横断歩道の実証実験が行われている理由

スムーズ横断歩道とは、速度抑制効果の高い「ハンプ(路面の盛り上がり)」と横断歩道を組み合わせた構造を指す。歩道と横断歩道の段差がなくなりフラットになるため、歩行者やベビーカーが滞りなく路面を横断できるようになるほか、物理的な盛り上がりがドライバーへ強制的に減速を促す効果を持つ。
実際に岡山県新見市では、2025年11月11日から12月8日にかけて実証実験が行われた。同市のウェブサイトによると、これは生活道路の制限速度を30km/hに規制する「ゾーン30」に、物理的なインフラ整備を組み合わせる「ゾーン30プラス」の一環である。スムーズ横断歩道(仮設ハンプ)を試験的に導入し、通過車両の速度抑制と歩行者の視認性向上を同時に実現することを目指している。
同様の実験は、静岡県沼津市(2021年9~10月)や広島県広島市(2022年11~12月)など、過去数年にわたり全国各地で展開されている。その背景には、通学路や生活道路が
「抜け道」
として利用され、本来は高規格な幹線道路が処理すべき交通需要が、居住性の高い生活道路へと漏出している深刻な問題がある。制限速度を超過した車両が住宅街を通過することは、地域住民が本来享受すべき安全な生活環境を損なうだけでなく、社会的な不利益を特定の地域に押し付けている状態にほかならない。
広島市の千田小学校北側や、奈良市の佐保小学校・鼓阪小学校の通学路などは、いずれも「ゾーン30」指定区域でありながら、速度を出す車両によって安心できる歩行環境が確立されていなかった。こうした課題に対し、国土交通省が自治体へ技術支援を行うことで全国での実験が加速している。
これは道路ネットワーク全体の機能を適正化し、通過交通にともなう負担を本来の幹線道路へと戻していくための合理的な手段として機能しているのだ。