「ランクル高騰」は氷山の一角? 中古車落札平均8%上昇、もはや「売らずに持つ」のが正解なのか
下落予測の根拠の薄さ

よく聞く「相場は上がりすぎていて、近いうちに下がる」という見方は、実態をきちんと捉えていない。こうした予測は、生産能力が回復すればすぐに価格が暴落するという前提に立っていることが多いが、その裏付けは弱い。たとえ工場の生産が正常に戻ったとしても、材料費や運送コストが高いままなら、新車の価格が下がる気配はない。その状況で、中古車の需要が急に消える理由もない。
日本の中古車は世界の市場しかししっかりした地位を築いていて、円安や新興国の経済成長による強い需要が、国内価格の底を支えている。国内の景気に左右されることなく、世界規模で車が足りない状況が続く限り、価格の下限は一定の水準で保たれると考えられる。実際、前年同月比で7.9%上がった平均落札価格は、一時的な過熱ではなく、車の価値の基準が世界レベルで変わったことを示している。供給が回復すれば価格が元に戻る、という単純な論理は、今の複雑な流通の実態を無視した見方にすぎない。
これまでの流通では、年数が経つにつれて価値が一律に下がるという考え方が前提だった。しかし今の市場では、その前提が通用しなくなっている。平均落札価格が前年から7.9%上がった状況を見れば、市場全体の動きを追うだけでは実態を読み切れない。車種や年式だけでなく、海外市場の需要や直接売買の成約データを反映させた、もっと動きのある評価の基準に切り替える必要がある。
事業者側は、平均値だけで判断せず、150万円から450万円の中間価格帯で最も多く成約している価格や、高級車がどれだけ貢献しているかを階層別に示すなど、実務に役立つ情報を提供すべきだ。車の持ち主も、自分の車を消耗品としてではなく、家計の中での負債と財産のバランスを考える対象として見直す視点が求められる。財産価値の高い車と日常使いの車を使い分けて、変動リスクを分散させることが、利益を最大化することにつながる。自分の車が「高級車」「中間価格帯」「低価格帯」のどこに位置するかを構造的に理解して、感覚に頼らず判断することが今の市場では必要だ。