「年間の半分は休業」でも、潰れない鉄道の正体――巨大電力会社の“100%子会社”が冬にだけ見せる特別な姿とは
黒部峡谷鉄道は冬季限定「プレミアムツアー」で増収を図るが、豪雪地帯の維持リスクや富山地方鉄道の存廃問題が復旧と観光計画の成否を左右する。
富山地方鉄道存廃という懸念材料

もう一点、気がかりなのは、黒部峡谷鉄道の起点である宇奈月と富山を結ぶ富山地方鉄道本線が一部区間で存廃に揺れている点である。黒部宇奈月キャニオンルートが始動すれば、黒部ダム経由で黒部峡谷鉄道と立山黒部アルペンルートが接続する形となるが、その立山黒部アルペンルートにつながる富山地方鉄道立山線も一部区間が存廃に揺れている。両区間とも、自治体の支援により2026年の廃止は回避されたが、それ以降の存廃は未定である。
富山県の構想では、富山地方鉄道、黒部峡谷鉄道、黒部宇奈月キャニオンルート、立山黒部アルペンルートがひとつの輪のようにつながる地図が描かれている。しかし、富山地方鉄道の一部区間が廃止されれば、この輪は寸断されることになる。
もっとも、黒部峡谷鉄道と富山地方鉄道がどの程度“一心同体”といえるかは疑問である。黒部峡谷鉄道はその特性から、ロープウェイやケーブルカーと同様に、既存鉄道から切り離された観光施設として存在し得る。駐車場の問題が解決されれば、宇奈月まではマイカーや観光バスで移動し、そこからトロッコ電車に乗るという選択肢もあり得るからだ。
いずれにせよ、不通となっている猫又~欅平間の早期復旧が望まれる。