「年間の半分は休業」でも、潰れない鉄道の正体――巨大電力会社の“100%子会社”が冬にだけ見せる特別な姿とは
黒部峡谷鉄道は冬季限定「プレミアムツアー」で増収を図るが、豪雪地帯の維持リスクや富山地方鉄道の存廃問題が復旧と観光計画の成否を左右する。
延期中の「黒部宇奈月キャニオンルート」

黒部峡谷鉄道は電力会社の100%子会社であり、親会社からの受託事業が存在する。この点は、こうしたバックボーンを持たない多くの地方私鉄にとって羨ましい基盤である。
とはいえ、非常に険しい山岳部の豪雪地帯を走る鉄道であるため、維持は容易ではなく、災害リスクも大きい。実際、2024年の能登半島地震の影響で、2024年シーズンと2025年シーズンは猫又~欅平間が不通となり、宇奈月~猫又駅で折り返し運行を余儀なくされた。2026年シーズンの営業運転についても、9月30日までは猫又駅で折り返す予定で、10月1日以降の復旧工事については2025年12月19日発表時点で未定である。
猫又~欅平間の不通は、黒部峡谷鉄道だけの問題ではない。富山県は関西電力と協力し、欅平から黒部ダムに至る新たな観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」を計画していた。当初は2024年6月30日に一般開放・旅行商品化する予定だった。
このルートは、2018年に関西電力と富山県が締結した協定に基づき、これまで一般に開放されていなかった工事用ルートで安全対策工事を完了後、一般開放・旅行商品化し、黒部峡谷から黒部ダムまでの電源開発の歴史をたどる新たな観光ルートを形成する計画である。
しかし公式サイトによると、2024年の能登半島地震の影響で黒部峡谷鉄道が全線開通できないことにともない、このルートの一般開放・旅行商品化の開始は2026年以降に延期される。開始時期は黒部峡谷鉄道の全線開通時期が示された段階で改めて案内される予定であり、ルートの運用開始は鉄道の復旧工事に依存している状況である。