「274台水没、補償は3分の1」 三重の地下駐車場「冠水事故」は本当に想定外だったのか? 官民の責任転嫁が生んだ“管理の空白”を考える
観測史上最大の豪雨で274台が水没、運営会社は破産――四日市の地下駐車場冠水事故は、管理不全と責任分担の曖昧さ、補助金頼みの限界を浮き彫りにした。インフラと車両資産の関係は、いま転換点を迎えている。
補助金救済の限界

運営会社の破産発表と同じタイミングで、国が被害車両への補償の一部を負担する方針を示した。
この駐車場は、管理運営を行う会社と国土交通省がそれぞれ半分ずつ所有している形になっている。事故の直接的な原因となった止水板は、国が所有する区域にも設置されており、行政側も責任を免れる立場ではない。
特に電動式止水板の故障については、双方で問題を把握していたにもかかわらず、修繕費の負担の割り方をめぐって議論がもつれ、長期間放置される事態を招いた。管理を担う主体が事実上消えた今、国による救済が求められるのは当然だろう。
しかし、1月26日の説明会で提示された内容は、とてもじゃないが受け入れられるものではなかった。国は水没した274台の所有者に対し、被害の総額の3分の1のみを支払うとしている。この数字の根拠は、止水板の不備によって流り込んだ水が全体の3分の1であったという物理的な計算だとされている。
だが、これは賠償額を強引に圧縮する手法に過ぎない。残り3分の2の支払先が不透明なままでは、最終的な損失は、所有者の車両保険や自己負担にのしかかる。公共インフラを信頼して車両を所有してきた人々の権利を著しく軽視しているのだ。