「絶叫マシンよりバスが稼ぐ」100周年の地方私鉄グループ、上場でも続く同族経営の“合理的理由”
富士急行グループは創業100周年を迎え、連結営業収益522億円、運輸事業利益が全体の57%を占める上場地方私鉄だ。鉄道比率6%に対し、高速バスやハイランド運営で稼ぐ独自モデルと、堀内一族の同族経営が継続する構造が注目される。
別荘開発事業の一時停止

同族経営は、富士急行グループに限らず、長年にわたり功罪が語られてきた。
功の面としては、トップダウンで経営判断が迅速に下されること、長期にわたる“政権”により短期的な利益に縛られず中長期的な事業展開が可能になる点が挙げられる。
一方で、罪の側面としては、組織の硬直化や創業家の暴走を止められない構造が指摘される。
富士急行グループも例外ではなく、堀内一族による同族経営には批判がある。富士急ハイランドの絶叫マシンで事故が起きた際には、同族経営がもたらすガバナンス不全が問題視されたこともあった。
とはいえ、かつて同族経営だった鉄道会社の多くが普通の上場企業へと変わるなか、富士急行グループで今も同族経営が維持されていることは、株式市場を通じて中長期的な事業の持続可能性が一定の評価を得ている証左ともいえる。
一方で、不動産事業は懸案となっている。山中湖畔で計画していた別荘地の開発では、山梨県有地の賃貸借契約を巡り県を提訴しており、販売や仲介は一時停止中だ。県との折り合いがつけば事業の進展が見込まれ、不動産事業の拡大も期待される。
創業100周年を迎える中で、光一郎氏から基光氏への経営権移譲の行方は現時点で不透明だが、その手腕には引き続き注目が集まる。