「絶叫マシンよりバスが稼ぐ」100周年の地方私鉄グループ、上場でも続く同族経営の“合理的理由”

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富士急行グループは創業100周年を迎え、連結営業収益522億円、運輸事業利益が全体の57%を占める上場地方私鉄だ。鉄道比率6%に対し、高速バスやハイランド運営で稼ぐ独自モデルと、堀内一族の同族経営が継続する構造が注目される。

創業以来の同族経営

高い知名度と集客力を有する富士急ハイランド(画像:富士急行)
高い知名度と集客力を有する富士急ハイランド(画像:富士急行)

 富士急行グループを語るうえで欠かせないのは、上場企業でありながら創業家・堀内一族による同族経営が続いている点だ。現在、上場している鉄道会社(持株会社を含む)のなかで、同族経営を維持しているのは富士急行と東武鉄道のみである。

 現社長の堀内光一郎氏(65歳)は創業者のひ孫にあたり、1989(平成元)年の就任以来36年にわたってトップを務めてきた。就任当時、29歳で東証一部上場企業の社長としては最年少だったこともあり、注目を集めた。堀内一族は創業者・堀内良平氏以来、光一郎氏の父・光雄氏まで代々衆議院議員を歴任しており、政界との関係も深い。

 2025年3月時点で、富士急行グループの筆頭株主は公益財団法人堀内浩庵会(持株比率12.09%)、次いで株式会社エフ・ジェイ(持株比率11.9%)である。前者は光一郎氏が理事長を務める公益団体、後者は同氏が代表を務めるグループ会社だ。光一郎氏個人の持株比率は1%に満たないが、これら関連法人を通じて同族経営を維持している。

 上場企業、特に旧東証一部や現プライム市場においては、同族経営者の実質的持株比率が20%程度であっても、他の株主が結束して経営方針を否決する可能性は低い。

 富士急行グループの取締役には光一郎氏の長男・基光氏(34歳)も名を連ねており、遠くない将来、社長に就任することが見込まれる。

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