「AI人材は年収1000万でも来ない」 自動車・輸送機業界、“育休取得率ワースト1位”が突きつける獲得の壁
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自動車・輸送機業界は、男性育休取得率67.2%、女性管理職比率3.7%と低水準にとどまり、組織の柔軟性や多様性が試されている。電動化やAI人材需要の急増に対応するには、従来の慣行を見直し、人的資本の活用を抜本的に再考する必要がある。
AI人材獲得競争と新技術への移行

高度な技術人材の流出を防ぎ、採用市場での優位性を保つには、人的資本に関する指標を改善することが避けられない。電動化やソフトウェア開発の重要性が増すなか、ITプラットフォーマーなど異業種との人材獲得競争は激化している。
ビズリーチの調査によれば、2025年の企業の検索キーワードの1位は「AI開発」であり、自動運転の実装を目指す自動車メーカーの採用担当者もこの高度専門人材の獲得に動いている。年収1000万円以上のAI関連求人数が3年前の
「約4.2倍」
に急増している市場環境を考えれば(同調査)、
「柔軟な働き方を求める層を引きつける組織環境の整備」
は、将来の価値創出に向けて欠かせない投資といえる。従来の製造プロセスや評価の枠組みは既存事業に最適化されており、それが新しい技術領域への移行に無意識のバイアスをかけていないか検証する必要がある。長年培った知識や経験を生かしつつ、どのように新規事業へリソースを配分するかの調整は、採用や定着を含む人材戦略の成否と密接に結びついているのだ。
自動車・輸送機業界が長期的に価値を生み続けるには、組織のあり方を改めて点検し、人的資本への配分を見直す必要がある。銀行業界などで進む業務の標準化やデジタル化の手法を製造や開発の現場に取り入れ、属人性に依存しない体制を整えることが、組織の冗長性を高め、対応力の向上につながるだろう。
電動化や自動運転、ソフトウェア中心の事業環境に合わせ、専門性とテクノロジーを融合できる人材を適切に配置することも欠かせない。示された客観的な指標は、業界が保持すべき伝統的な強みと、将来の成長のために刷新が必要な慣行のバランスを、現場の意思決定者が判断する手がかりとして重要だろう。