「3000台を16時間封鎖した代償」 山陽道を麻痺させた「ノーマルタイヤ車」、その不作為が奪った巨額の公的利益とは

キーワード :
, ,
2026年の年始、中国地方の高速道路で3000台が16時間孤立。ノーマルタイヤで豪雪に挑んだ個人の判断が物流を止め、国家の生産性にも影響。気候変動下での道路利用の責任と装備の重要性が鮮明になった。

共有財としての道路を守るための選択

雪道ノーマルタイヤ走行の危険性。
雪道ノーマルタイヤ走行の危険性。

 2026年の年始、中国地方で露呈したのは、一部の無準備なドライバーの行動が、社会の血液とも言える物流や移動を瞬時に停滞させる現実だった。3000台もの車両が16時間にわたり極寒の路上に取り残された代償は、立ち往生の原因を作った個人が支払う反則金や数万円のスタッドレスタイヤ代とは比べ物にならない重さを持つ。

 高速道路という巨額の投資で成立する共有財を、個人の不作為によって事実上私物化し、機能不全に追い込む行為は、国家の生産性への重大な裏切りにほかならない。

 気候変動にともなう突発的な豪雪が常態化しつつある現状を前提にすれば、これまでの

「ドライバーの良心」

に依存した運用や注意喚起だけでは不十分だ。高速道路の入口でAIカメラによる装着タイヤの自動判別や、ETCデータと連動したリアルタイムでの不適合車両排除といった技術的な措置が求められる段階に来ている。同時に、不適切な装備で渋滞を引き起こした者には、道路復旧費用や他者の損失を賠償させるなど、受益者負担の徹底も不可欠だ。

 公道を走る権利は、必要な準備を整え、他者の通行を妨げない義務を果たしたうえで初めて成立する。準備不足によるリスクを社会に押し付ける者は、社会の一員としての資格を欠いている。自らの選択がもたらす損害の大きさを冷静に自覚し、万全の装備を整えること。それが、変化する気象条件の下でハンドルを握る者が負うべき責任だろう。

全てのコメントを見る