「3000台を16時間封鎖した代償」 山陽道を麻痺させた「ノーマルタイヤ車」、その不作為が奪った巨額の公的利益とは

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2026年の年始、中国地方の高速道路で3000台が16時間孤立。ノーマルタイヤで豪雪に挑んだ個人の判断が物流を止め、国家の生産性にも影響。気候変動下での道路利用の責任と装備の重要性が鮮明になった。

タイヤ選びで大きく変わる雪道リスク

時速40km/hからの制動距離(画像:JAF)
時速40km/hからの制動距離(画像:JAF)

 毎年、ノーマルタイヤの危険性は指摘され、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどによる備えが推奨されている。しかし、その装備の有無が生死や経済的損失の差につながることは、数字が明確に示している。JAFが行った雪道走行テストでは、コンパクトカーを使い、時速40kmから急ブレーキをかけた場合の制動距離を、ノーマルタイヤ、スタッドレスタイヤ、オールシーズンタイヤ、さらに各種滑り止めを装着した計6条件で比較した。

 結果は明瞭だった。圧雪路では、ノーマルタイヤが停止までに29.9m必要だったのに対し、スタッドレスタイヤは17.3mで止まる。わずか12.6mの差だが、衝突を避けられるかどうかを分ける決定的な距離である。個人の判断の甘さが、物理法則によって無慈悲に浮き彫りになった形だ。圧雪路ではチェーンを装着してもノーマルタイヤとの差が小さいという意外な結果も出ているが、氷盤路になると状況は逆転し、金属ピン付きのチェーンが最も高い制動力を発揮した。

 道路を利用するうえで、状況に応じた装備の選択は最低限の責任である。氷盤路のリスクを考慮しつつ、圧雪路でも高い性能を維持できるスタッドレスタイヤの装着は、安全を確保するための義務的な投資といえる。準備を怠れば、自身の事故リスクだけでなく、他者の通行を妨げるリスクも抱えることになるのだ。

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