「部下を守らない課長」「下請けを簡単に切り捨てる部長」上司を“覚悟の有無”で断罪しても全く意味がない理由【連載】上司ガチャという虚構(6)
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職場の約6割の管理職が「業務過多」を強いストレス要因に挙げるなか、部下を守らない上司は単に覚悟不足ではなく、責任と裁量のアンバランスや評価制度の偏りといった組織の構造が生んでいる。
善意を生かす制度設計

人事制度や評価項目は、静かに、しかし確実に人の行動を縛る。組織の中の人々は、使命感や責任感だけでなく、ある種の損得計算によっても動いている。これは冷たい話ではない。計算式さえ変えれば、人の行動も変えられるという希望でもある。
管理職の評価に負荷の適正化や離職の予防を組み込み、短期利益だけでなく、サプライチェーンの途切れるリスクを可視化する。評価期間を複数年に延ばし、関係維持の価値を査定に反映させる。善意に頼るのではなく、
「善意を発揮しても損をしない仕組み」
を作ることこそ、人事や経営の本来の仕事である。
上司を「覚悟が足りない」と片付けるのは簡単だが、それは問題を次の世代に先送りするだけだ。文句を言う若手も、遠くない将来自分ごとになる。変えるべきなのは個々人の心ではなく、それを陰で動かしている
「計算式」
の側かもしれない。人を動かす背景にある仕組みを直すことが、組織を救う最短ルートである。