「部下を守らない課長」「下請けを簡単に切り捨てる部長」上司を“覚悟の有無”で断罪しても全く意味がない理由【連載】上司ガチャという虚構(6)
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職場の約6割の管理職が「業務過多」を強いストレス要因に挙げるなか、部下を守らない上司は単に覚悟不足ではなく、責任と裁量のアンバランスや評価制度の偏りといった組織の構造が生んでいる。
切り捨てを合理化する「短期的視野」

経営幹部クラスになると、取引先との関係も判断材料に入るが、ここでも「短期成果の可視性」が強く影響する。原価の圧縮はすぐに数字に現れるが、取引先との信頼関係や技術の蓄積といった価値は、単年度の損益計算書には反映されない。
また、責任が形式化していることも影響する。「契約上は問題ない」「規程通りだ」という論理は社内で非常に強力だ。一方的な単価引き下げや発注停止は、短期的には「コスト改善」として評価されるが、その反動である品質低下や協力先の離反は半年後や1年後に現れる。
その頃には担当の管理職が異動していることも多く、将来の損失に対する責任は曖昧になる。「今、切ること」がプラス評価になり、未来のリスクが分散されるなら、今日の最適解は切り捨てとなる。
これらの問題を根本的に解決するには、個人の資質ではなく、なぜその行動が選ばれたのか――という誘因に注目する必要がある。
・最終決定者は誰か
・上司が守らなかったのか
・守るための決裁権がそもそもなかったのか
・責任と決定権は一致しているか
・責任だけを現場に押し付け、決定権を上に残していないか
・「守ること」が損になっていないか
守る選択をした人間が損をする仕組みなら、誰がその席に座っても同じ振る舞いをする。人を非難する前に、まず「席の形」を疑うべきである。