名前は「極楽」でも実態は“廃墟級” 香川県の老朽インフラ、90年以上の歳月で「鉄筋むき出し」――地方が直面する辛らつ現実を考える

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老朽化する全国の橋・トンネルの更新期が迫るなか、小規模市町村は人手不足と財政難で対応困難。2040年には橋の75%、トンネルの53%が50年以上経過し、国は役割分担見直しで地方インフラ維持に乗り出す。

団塊ジュニア定年で人材確保がさらに厳しく

徳島市で工事が進む助任橋架け替え(画像:高田泰)
徳島市で工事が進む助任橋架け替え(画像:高田泰)

 人手不足を招いた最大の原因は人口減少だ。国立社会保障・人口問題研究所は国内総人口を2070年で8700万人と推計している。2020年の1億2615万人と比べると、69%になる。

 しかも、子どもを産む中心世代の20~39歳の女性が大きく減る。社人研は2017年の推計で2065年の合計特殊出生率(ひとりの女性が生涯に産む子どもの数)を1.40としていたが、2023年の推計では2070年で1.29に引き下げた。地方創生や少子化対策が効果を上げず、地方消滅に向かう動きが加速していることがうかがえる。

 市町村技術系職員の主力は1971(昭和46)~1974年生まれの団塊ジュニア世代。1973年の国内出生数は210万人だったが、団塊ジュニア世代が定年退職する2040年前後に20代前半となる世代は2023年生まれで73万人しかいない。人材確保の道はますます険しくなる。

 国は1999年の地方分権一括法成立以降、国から都道府県、都道府県から市区町村へ権限や財源の移譲を進める地方分権を推進してきた。地方制度調査会での議論はこの流れに逆行するように見える。

 林総務相は「業務分担見直しで市町村が創意工夫を要する仕事により力を注げるようにしたい。これは地方分権が目指す方向と一致する」と述べた。その一方で、総務省自治行政局は

「このままだと10年後に市町村業務が回らなくなる」

と危機感を募らせる。地方分権を一時後退させなければならないほど、地方は追い込まれている。

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