「ポルシェの跡地にBYD」 かつての日本車天国「香港」で何が起きているのか? EV比率71%、中国車軽視が招く戦略的敗北
2025年、BYDがEV新車販売で225万台を突破し世界1位に躍進。香港ではEVが新車の7割を占め、中国メーカーが急速に存在感を増す。日本市場にも影響が及ぶ可能性を示す変化の実態を、最新統計と現地ルポから検証する。
香港におけるEV普及の誤解

香港は中国の一部だから中国製車が売れる――と考える向きもある。その一面は確かにあるが、香港は東京以上の国際都市である。
世界の優れた商品が集まり、香港人は海外に出る機会も多いため、目が肥えている。こうした背景があるため、日本車が長年売れてきた。2019年の民主化デモで示されたように、香港人のなかには中国本土と一緒にされることを嫌う人も多い。その状況下で中国ブランドが浸透してきた事実は、
「中国車の品質向上を示す裏付け」
でもある。
では、なぜ新車販売の7割をEVが占めるのか。香港は土地が狭く、航続距離の心配が少ない。温暖な気候はバッテリーにも優しく、ガソリン価格も高い。こうした条件がEVの支持につながっている。
さらに香港政府は、狭い土地での渋滞を防ぐ目的から自動車購入に高い税を課している。しかしEVは条件を満たすと17万香港ドル(約340万円)を上限に免税される。ICE車やハイブリッド車(HV)よりもEVを選んだ方が経済的だ。この政策は2026年3月まで続く予定であり、BYDやMaxusの存在感は今後さらに高まる可能性がある。