「ポルシェの跡地にBYD」 かつての日本車天国「香港」で何が起きているのか? EV比率71%、中国車軽視が招く戦略的敗北
BYDの二重ショールーム展開

香港島北部には、島を東西に結ぶ告士打道(Gloucester Road)という幹線道路がある。その通り沿いの銅鑼湾(Causeway Bay)から湾仔(Wanchai)にかけて、自動車ディーラーが軒を連ねている。
・トヨタ
・アルファロメオ
・KIA
・ボルボ
・ロータス
・パガーニ
など、国際色豊かなブランドがショールームを構える。
一方、中国メーカーも存在感を示している。BYDやMaxusのほか、吉利集団のプレミアムBEVブランドZeekr、広州汽車集団のGACも店を出している。そのなかで特に目立つのがBYDだ。通常のショールームに加え、通りから約200m西に「品牌體験中心(ブランド体験センター)」という別のショールームを構えている。かつては
「ポルシェのショールーム」
だった場所で、時代の変化を感じさせる。
品牌體験中心は約1300平方メートル。BYDのほぼ全車種や、モーターショーのような実物大プラットフォームを展示している。グッズ販売やラグジュアリーなソファも用意され、ブランドの世界観を体感できる空間になっている。
香港市場で急成長したMaxusも印象的だ。販売台数では6位に入り、上海汽車がフォルクスワーゲンやゼネラルモーターズと提携していることでも知られる。香港ではワンボックス車の販売に注力している。日本では馴染みが薄いが、実物を見るとデザイン性は悪くない。例えば「MIFA9」はアルファードの競合に位置する車だ。富裕層の多い香港では街なかでもよく見かける。
もうひとつのZeekrもワンボックスやスポーツタイプ多目的車(SUV)の販売に力を入れている。CMを打ち、有名女優を1日店長として起用するなど、プロモーションも確実に浸透させている。MaxusやZeekrの販売戦略は突飛なことはしておらず、基本に忠実な手法だ。関係者によれば、急にシェアを伸ばすのではなく、時間をかけて確実に浸透させる戦略を取っているという。