なぜタンクローリーは「禁断のトンネル」へ吸い込まれたのか?――違法通行&性善説の限界、過密物流が抱える非連続リスクとは

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首都高速水底トンネルで規定超過の軽油積載車両が違法通行。制度の形骸化、技術的制約、過密物流の三重リスクが潜在し、事故発生時の損失は数千億円規模に達する可能性がある。制度・技術・市場の再構築が急務である。

求められる取締り早期導入

タンクローリー監視のイメージ。
タンクローリー監視のイメージ。

 水底トンネルにおける危険物の違法通行は、現場のモラル低下のみに帰せられる問題ではない。

・過密を極める物流現場
・実効性を欠く取り締まり制度
・安全への技術投資の遅れ

が、経済的な合理性のもとに導き出した必然の帰結といえる。事故が起きない限り表面化することのない問題かもしれないが、ひとたび惨事が発生すれば、なぜ予兆がありながら放置したのかという不作為の責任が問われることは避けられない。

 然るべき決断を下せる猶予は、潜在的なリスクが社会の許容範囲内に収まっている、今この瞬間にしか存在しない。フジテレビの報道が突きつけた現実は、一刻も早く強制力のある監視・取り締まり体制へ移行すべきだという強い警鐘である。

 現在、水素をはじめとする次世代エネルギーの輸送に向けた制度設計が進められているが、既存のルールすら形骸化している現状では、新たな技術への社会受容性を得ることは難しいだろう。今回の報道を機に、インフラ管理のあり方を抜本的に見直し、安全を基盤とした強靭な物流ネットワークを再構築する決断が下されることを切に願う。

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