クルマ「大型化」「高性能化」で足元に大変化? 20年前の「Sクラス超え」が示す不可逆トレンド、タイヤ三強が描く生存戦略とは
SUV化が押し上げる負荷

車両重量は世界的に確実な増加傾向にある。地域差はあるものの、英国AUTOCAR編集部の調査では、2016年から2023年の7年間で新型車の平均重量が1553kgから1947kgへと
「約400kg」
増えた(約25%増)。ミドルからハイエンド車を中心に、大型化が急速に進んでいることがわかる。欧州市場のデータではあるが、需要の中心にある車種で重量増が顕著に起きている点は見逃せない。
国内市場を見ても、傾向は同じだ。大衆車ではボディサイズやタイヤサイズに大きな変化はない。それでも、安全装備や静粛性を高める構造の追加により、車両重量は旧型比で着実に増えている。外形寸法が変わらなくても、クルマは確実に重くなっている。
こうした流れのなかで、ミドルからハイエンドの車種ではSUV化が一段と進んだ。車格そのものが上方にシフトしている。国内の保守的な需要に応えてきたクラウンや、流行と距離を置いてきたフェラーリまでがSUVを投入した事実は象徴的だ。SUVというフォーマットが、
「市場全体で避けられない選択肢」
になったことを示している。SUV、特にスポーツSUVの普及により、低扁平かつ大径のタイヤが一般化した。高剛性ボディが生み出す力を、タイヤがより高い水準で受け止める必要がある。そこにHVやEVの重量増、大トルク特性が重なる。結果として、タイヤにかかる負荷は構造的に拡大している。
変化を具体的に見るため、過去と現在を比較する。2000年式メルセデス・ベンツS600L(W220)の純正タイヤサイズは225/55R17だった。車両重量は約1980kgに達し、当時としては重量級かつ高出力のラグジュアリーカーである。それでも、装着されていたタイヤは現在の基準では特別なものではない。
このサイズは、いまや上級ミニバンやミドルクラスのSUVでも一般的だ。20年前にフラッグシップ高級車が採用していたタイヤサイズが、現在では量販セグメントにまで広がっている。車両の大型化と高性能化が、タイヤの基準そのものを押し上げたことがわかる。