トヨタvsフォルクスワーゲン――販売差は180万台! HV・EV・ソフト開発で世界市場の頂点を握るのはどちらか?
トヨタは世界販売1082万台で5年連続首位を維持する一方、VWは903万台で追走。EV・HV戦略、ソフト開発、米中市場投資の差が、次世代自動車市場の勢力図を左右する。
持続可能利益の行方

トヨタの経営思想は、生産現場主義を軸に長期的な安定を重視している。内部留保を防波堤として活用し、トヨタグループを核に盤石なサプライチェーンを築き上げている。不測の事態へのリスク管理も徹底され、世界市場の変動に対しても比較的柔軟に対応できる体制が整っている。
一方でVWは、投資家資本を前提とした短期収益モデルに依存している。バッテリーや部品のサプライチェーン見直しは急務だが、外部資本に依存することで投資リスクを抑え、必要な変革に迅速に対応する仕組みを整えている。各種政策や市場環境の変化に対する反応は早いが、長期的な安定性という点ではトヨタと異なるアプローチを取っている。
両社の違いは、利益の「持続性」に直結している。トヨタは安定した収益構造を保ちつつ、変革への対応力を段階的に高めているのに対し、VWは短期的な収益機会を優先しつつ、構造改革で次の成長機会を模索している。
この対照的な経営思想が、世界的な脱炭素や地政リスクを含む不確実な環境下でどのような成果を生むか、今後の成長戦略を占う重要な要素となる。