トヨタvsフォルクスワーゲン――販売差は180万台! HV・EV・ソフト開発で世界市場の頂点を握るのはどちらか?
ハイブリッド戦略の安定収益

欧州連合(EU)の環境規制の厳格化や、2015年に発覚したディーゼル車の排出ガス試験不正を背景に、VWは電気自動車(EV)への集中投資を市場支配の手段に変えてきた。しかし2025年1~9月期の決算では、営業利益が前年同期比57.8%減の54億ユーロ(約9780億円)に落ち込んだ。利益率の低いEVの増産、米国追加関税、傘下ポルシェの製品戦略変更にともなう約47億ユーロ(約8500億円)の特別損失などが収益に影響したためである。通期の営業利益率は2~3%に留まる見通しだ。
一方、トヨタはハイブリッド車(HV)を軸としたマルチパスウェイ戦略を進め、安定した収益構造を維持している。ただしEV投入が後手に回ったことも事実で、中国や欧州などEVシフトが加速する市場では対応が遅れた。2025年4~9月期のトヨタの営業利益は、米追加関税の影響で18.6%減の2兆56億円となり、2年連続で減益となった。しかし通期の営業利益率は7%近くとなる見通しで、VWを大きく上回る水準となる。
VWはトヨタへの対抗姿勢を鮮明に示し、HV戦略を一気に加速させている。2025年9月、ドイツ・ミュンヘンで開催された「IAA MOBILITY 2025」では、低出力モーター1基の簡易ハイブリッドシステムを搭載した新型「T-ROC(Tロック)」を出品した。さらに来年からは、高出力モーター2基を搭載したHVを投入し、トヨタが強みとするHV領域に挑む。
迎え撃つトヨタは、全固体電池での反撃を模索している。2027年から2028年の実用化を目指し、EVシェア拡大の起爆剤とする取り組みを進めている。
両社の電動化戦略の差は、「時間軸」に起因する。EVシフトが減速し、需要がHVに移る転換期で、VWは戦略の転換を迫られた。一方、トヨタは従来戦略を粛々と推進し、EVでの後れを取り戻す余地を確保した。VWにかかる負担は想定以上に大きく、どちらの戦略が正解かは現時点では判断できない。ただし、政策次第で市場が大きく変動する可能性は残る。