なぜ車の窓には「黒縁」があるのか? 知られざる機能と業界競争の行方
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自動車用ガラス市場は日本で約1700億円、世界では425億ドル規模に拡大中だ。黒セラ技術やセンターバイザーの進化、EV普及にともなうパノラマルーフやARガラス導入で、視界確保から快適性・情報統合まで機能が拡張しつつある。
自動車ガラスの黒縁設計

自動車のフロントガラスや窓ガラスをよく観察すると、黒い縁取りが施されているのが分かる。この部分は「黒セラミック」、通称「黒セラ」と呼ばれる重要な機能部品である。ガラスに貼り付けるシールやフィルムではなく、製造工程でおよそ560~800度の高温で焼き付けられるため、経年劣化で剥がれることはほとんどない。
黒セラの最も重要な役割は、接着剤の紫外線保護である。車体にフロントガラスを取り付ける際、専用の接着剤でガラスの内側を固定する。この接着剤は長期間の紫外線や直射日光にさらされると劣化しやすい。黒セラはガラスと車体の接着部分を覆うことで、紫外線から守り、接着剤の寿命を延ばす役割を果たしている。
さらに黒セラは、接着部分を外から見えなくすることでデザイン性を高める効果もある。車種によっては、黒セラのドットの大きさを徐々に変えるなど、見た目の美しさに配慮した工夫も施されている。
黒セラは窒化物、炭化物、酸化物、ホウ化物などの無機質を加熱して固めたセラミックスである。耐熱性、耐食性、耐摩耗性、電気絶縁性など、多様な特性を備えている。
本稿では、あまり知られていない自動車ガラスの黒い縁取りの役割と、電気自動車(EV)化が進むなかで進化する自動車ガラス技術の最新動向を解説する。