トヨタ新車、人気モデルの受注停止続く――「お金があっても買えない」理由
利用型モビリティの拡大

トヨタ車が手に入りにくくなる状況のなかで、中古車市場は活況を見せている。ファブリカコミュニケーションズの「中古車市場統計レポート」によると、2025年7月の中古車登録台数は57万807台で前年同期比101.3%、8月は46万1678台で98.8%、9月は52万6591台で106.7%となり、3か月平均では前年同期比102.2%となった。人気車種の中古車価格が新車を上回るケースもあり、消費者は入手手段の選択肢を広げざるを得ない状況にある。
一方で、クルマを所有することにこだわらない層も増えており、トヨタが提供する定額制サービス「KINTO」は、納期の短さや維持費込みの安心感が評価され、利用者を着実に増やしている。カーシェアやMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)など、都市部を中心に利用型の移動サービスが浸透しつつあることも、こうした動きを後押ししている。
納期遅延の影響は、消費者の合理的な選択行動を加速させている。従来は「欲しいクルマを所有する」ことが前提だった選択基準が、「手に入るクルマをどう使うか」にシフトしているのだ。さらに、都市部と地方では利用型サービスの浸透度に差があり、地方ではまだ所有の必要性が高いものの、都市部では短期リースやサブスクでニーズを満たす動きが広がっている。こうした変化は、クルマに対する価値観の世代間ギャップも浮き彫りにしており、若年層は所有より利用を優先する傾向が強まっている。
結果として、消費者の行動は単なる代替手段の利用にとどまらず、「使えるクルマを選ぶ」という新たな合理的判断に基づくものとなっており、市場全体に長期的な影響を及ぼす可能性がある。メーカー側にとっても、こうした価値観の変化を踏まえたサービス設計や販売戦略の見直しが必要となってきている。