徳島県の路線バスがついに「交通系ICカード」導入――熊本撤退と逆行、地方交通改革は進むのか?

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徳島県の路線バスに2026年3月、ICOCAを含む全国10種類の交通系ICカードが導入される。通学用定期券の51%が金額式を選ぶなど利便性向上が鮮明で、地方交通の再編や利用率改善に直結する可能性が高まった。

固定客確保の戦略

スマホに表示した交通系ICカード(画像:写真AC)
スマホに表示した交通系ICカード(画像:写真AC)

 金額式定期券の導入は全国的な潮流でもある。南日本新聞デジタルが2025年6月9日に報じた記事では、南国交通が金額式定期券の販売を始めた様子が詳しく伝えられている。

 長らく利用低迷に苦しんできたバス事業者は、コロナ禍で運転手不足が加速し、残業規制強化の「24年問題」にも対応を迫られた。運行態勢の見直しが求められるなか、利便性の確保に知恵を絞っている。

 南国交通は4月、設定運賃内の同社路線で自由に乗り降りできる「金額式定期券」を導入した。年度をまたぐ3月21日~4月10日の販売では、

・通学用定期券:51%
・通勤用定期券:27%

が金額式を選んだ。周知が進めば、金額式を選ぶ割合はさらに増えると期待されている。山田誠常務は「運賃値上げや減便で負担増となった乗客をサービス向上でつなぎ止める必要がある」と説明する。人口減少による長期的な乗客減は予想していたものの、コロナ禍の打撃は想定以上で、減少のスピードは5年早まったという。バス離れを防ぐには、定期券利用者という固定客へのアピールが重要だ(同紙)。

 金額式定期券は、パンデミックや運賃値上げなどで失った乗客を取り戻すための施策でもある。通学用定期券購入者の51%が金額式を選んだことは、事業者にとって朗報だ。利用者が順調に増えれば、次に検討されるのは停留所の再編かもしれない。

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