南武線「羽田直通」は夢か幻か? 立川市長も熱望、沿線100万人が待ち焦がれるアクセス革命どうなる

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南武線を羽田空港まで直通させれば、西東京エリアからの所要時間を最大20分短縮し、多摩地域の空港アクセス格差を解消できる可能性がある。財政・技術面の課題は大きいが、沿線人口100万人超への経済効果も期待される注目プロジェクトである。

西山手ルートよりも遅い?

多摩地域から羽田へのアクセス現行と改善後の比較(画像:北村幸太郎)
多摩地域から羽田へのアクセス現行と改善後の比較(画像:北村幸太郎)

 技術的・施工上の課題として、まず京急大師線の川崎駅地下化や他路線との接続が挙げられる。過去にも議論はあったが、コスト面の課題で停滞してきた。2026年に再開予定の地下化工事では、トンネル幅をJR規格にできるかの検討が必要だ。既に地下化済みの大師橋駅付近のトンネル幅を拡張できるかも技術的に検討する必要がある。もし不可能であれば、南武線車両を京急車体幅に合わせる必要がある。さらに、地下区間新設にともなう安全対策や環境影響評価も欠かせない。

 次に、そもそもの整備必要性である。南武線の羽田乗り入れ案を具体的に検討した結果、先に示した試算通り、大幅な時間短縮効果が期待できることがわかった。ただし、これは「JRによる西山手ルート整備が頓挫した場合」の話である。西山手ルート整備や中央線直通のみでも一定の時間短縮効果があり、多くの出発地から羽田まで、南武線経由の方が西山手ルート経由より数分しか速くない。特に八王子、立川、府中からのアクセスでは、南武線経由の方が遅くなる場合もある。詳細は添付の現行ルート、西山手ルート、南武線・大師線ルート比較表を参照されたい。

 このため、南武線経由案が本当に費用対効果で優れるのか、再検証が求められる。この点について酒井市長は

「羽田空港アクセス線(東山手ルート・アクセス新線)については、令和7年4月19日~20日にかけて京浜東北線等の線路切替え工事を予定するなど、アクセス線実現に向けて着実に前進しており、現計画では2031年度開業予定となっています。一方、西山手ルートについては、現時点で事業スキームやスケジュールは未定であり、開業の見通しは立っていません。前の質問の回答と重複になりますが、実現のためのルートは様々な選択肢が考えられます。今後も国・東京都・鉄道事業者の計画や動向を注視してまいります」

と回答している。費用対効果の課題はあるものの、西山手ルートの不透明性が、市長が南武線活用を推す理由のひとつであることは間違いない。

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