「カッコいい車」の時代は終焉か? 技術の日産が挑む、価値観変化の先にある新しい「やっちゃえ NISSAN」像【リレー連載】頑張っちゃえ NISSAN(5)

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日産は米中販売不振で上半期営業利益が前年同期比90%減、2025年3月期には約6708億円の赤字を計上。技術力と挑戦精神を土台に、EV戦略や組織改革で再生を目指す挑戦が始まった。

技術力とブランドの軌跡

2024年度第1四半期決算を発表する日産(画像:日産自動車)
2024年度第1四半期決算を発表する日産(画像:日産自動車)

 かつて世界を席巻した日産は、今また大きな岐路に立っている。EVシフトの遅れ、米中市場での苦戦、巨額赤字――逆風は強い。しかし新型リーフやマイクラEVの投入、ハイブリッド戦略、生産体制の再構築など、未来への挑戦は止まらない。 本リレー連載「頑張っちゃえ NISSAN」では、厳しい現実と並走しながらも改革を進める日産の姿を考える。

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 日産自動車は逆風下にある。米中市場での販売不振により、2024年9月末時点の中間決算(上半期)では営業利益が前年同期比で約90.2%減少した。さらに、2024年度(2025年3月期)決算では約6708億円の最終赤字を計上した。短期的な経営危機に陥っているわけではないが、次世代技術や商品開発、組織改革などで手を打たなければ将来の成長は難しい。

 日産のブランド力を支えてきたのは技術力と、それが生む市場でのインパクトである。1989(平成元)年に復活した「R32 GT-R」や、2010年に発売された日産初の量産型電気自動車(EV)「初代リーフ」は、技術力が注ぎ込まれた車として市場に衝撃を与えただけでなく、当時のメディアや自動車ファンの間で高い評価を受け、ブランドの象徴となった。こうした車は、開発チームの挑戦精神や試行錯誤の物語をともなっていたことも強みである。

 2015年ごろからは「やっちゃえ NISSAN」というキャッチコピーでCMを展開し、挑戦的な姿勢を示した。特に、CM内でハンドルから手を離すシーンは強い印象を残した。これは、日産が技術力を裏付けに、消費者に驚きや期待を提供しようとした試みの象徴である。しかし市場の価値観は変化した。

「技術力の衝撃を理由に車を購入する時代」

は終わりつつある。所有欲を満たす技術エピソードよりも、利便性や利用の柔軟性を重視する消費者が増えた。若年層の一部では、車を所有するよりカーシェアなどで「利用」する傾向が強まり、価値観の多様化が進んでいる。日産が長年育んできた技術の信頼性は依然として強みである一方で、

「その価値をどのように現代の生活や消費者体験に結びつけるか」

が、今後の課題となるだろう。

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