「残クレアルファード論争」ついに決着か!? 「見栄を張るな」「地獄の返却リスク」……ネット上の批判を総括する
2007年69%だった新車一括購入は21年に56%へ減少、代わりに残価設定型ローンは3%から20%に拡大。所得停滞と車両高騰の中、残クレは心理的所有と経済負担のねじれを抱えつつ、縮小社会で持続可能なモビリティ経済圏を支える鍵となりつつある。
透明性向上とライフプラン連携の導入

しかし、制度を悲観するだけでは前に進まない。突破口は「理解の仕組み化」にある。契約前に利用者が制度の内容を正確に把握し、将来の負担やリスクを自ら試算できる環境を整えることが重要だ。こうした仕組みがあれば、返却時の心理的ストレスや家計への影響を事前に想定でき、契約への不安を大きく減らすことができる。
近年では、オンライン上で返却時の精算額を試算できるシステムを導入する動きが広がっている。走行距離や車体の状態を入力すれば、追加費用の可能性を事前に把握でき、契約満了時の支払いを可視化できる。これにより、利用者は月々の負担だけでなく、契約後の支出まで含めて家計全体を設計できるようになり、教育費や住宅ローンとの両立を前提に車を選ぶことが可能になった。
また、一部の販売現場では、契約前にライフプラン相談を義務づけ、収支全体を踏まえた判断を促す取り組みも始まっている。目先の支払額の軽さではなく、生活全体を見渡した上での契約判断を支援する狙いだ。
制度面でも、残価保証を外部の保証機関が引き受ける枠組みが検討されている。欧州ではすでに、保証会社が契約リスクを分担することで、返却時のトラブルを抑える事例が増えており、日本でも同様の仕組みづくりが進みつつある。これにより、利用者は返却時の追加負担リスクをある程度回避でき、契約への安心感が高まる。
こうした理解の支援と保証の分担によって、残クレは借金の魔法から計画的な選択の仕組みへと変わりつつある。制度が透明化され、ライフスタイルや家計に応じた契約が可能になることで、利用者自身が納得して判断できる環境が整い始めている。