テスラを抜き去った「内製化の怪物」 低価格EVで世界を席巻、完成度の高さが中国車を変えた
中国BYDが世界のEV市場で首位に立った。2023年の販売は302万台、粗利率23.0%を達成。電池から完成車まで自社生産する垂直統合モデルでコスト優位を確立する一方、海外規制対応や次世代技術開発が今後の成長を左右する。
BYDとテスラの戦略比較

競合するNEVメーカーと比較すると、BYDの立ち位置は明確になる。テスラや蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng)はソフトウェアや自動運転で先行している。一方、BYDは製造コストの効率とサプライチェーンの掌握で優位に立っている。
2023年の粗利率はBYDが23.0%で、テスラは約25%とやや上回る。ただしテスラの利益には、OTAアップデートやFSDオプションなどソフトウェア収益の比重が大きい。製造コストの面で優位に立つのはBYDである。
一方、テスラは自社開発の4680電池や効率化されたソフトウェア開発体制により、技術革新のスピードで他社を上回る。BYDがこの分野で遅れれば、ハードウェアによる価格優位は相対的に薄れるリスクがある。
成否を左右するのはBYD自身の技術革新のスピードだ。BYDは電池と製造で築いた垂直統合の強みを維持しつつ、ソフトウェアやエネルギーマネジメントへの投資を加速している。テスラが“アップデートされる車”を志向するのに対し、BYDは“完成度の高い車”を磨き上げてきた。この二つの哲学の競合が、次世代のモビリティ産業の行方を左右する。