テスラを抜き去った「内製化の怪物」 低価格EVで世界を席巻、完成度の高さが中国車を変えた

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中国BYDが世界のEV市場で首位に立った。2023年の販売は302万台、粗利率23.0%を達成。電池から完成車まで自社生産する垂直統合モデルでコスト優位を確立する一方、海外規制対応や次世代技術開発が今後の成長を左右する。

海外展開とローカライズ戦略

BYDのハンガリー新拠点(画像:BYD)
BYDのハンガリー新拠点(画像:BYD)

 海外市場への適応もBYDの課題となる。中国国内では圧倒的な地位を築いているが、さらなる成長には欧州、東南アジア、南米などでの展開が不可欠である。アウェー市場では各国の安全基準、輸入規制、補助金政策、消費者の嗜好など複雑な要素に対応する必要がある。中国国内に生産を集中させる垂直統合モデルは、こうした柔軟な対応を難しくする。

 ただし、BYDは手をこまねいているわけではない。垂直統合で培った技術力とコスト競争力を武器に、海外展開を積極的に進めている。2023年には輸出台数が25万2000台に達し、前年の4.3倍という成長を記録した。輸出比率は全体販売の約1割にとどまるが、成長の勢いは明らかに加速している。

 現在、BYDは日本、ドイツ、タイ、ブラジル、ウズベキスタン、ハンガリーなど50を超える国・地域で販売を行っている。特に欧州と東南アジアでは、現地生産や組立拠点を設け、関税や輸送コストを抑制しながら市場の嗜好に合わせたモデル展開を強化している。ハンガリーでは2025年稼働を目指しEV工場を建設中で、欧州初の乗用車生産拠点となる計画だ。

 こうした分散戦略は、垂直統合の弱点を補う役割を果たす。各国の政策やインフラ、市場特性に柔軟に対応できる体制を現地で構築しているのだ。今後は中国本土を“マザー工場”としつつ、主要市場ごとに現地生産と調達を最適化する「分散型垂直統合」が成長のカギとなるだろう。

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