テスラを抜き去った「内製化の怪物」 低価格EVで世界を席巻、完成度の高さが中国車を変えた

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中国BYDが世界のEV市場で首位に立った。2023年の販売は302万台、粗利率23.0%を達成。電池から完成車まで自社生産する垂直統合モデルでコスト優位を確立する一方、海外規制対応や次世代技術開発が今後の成長を左右する。

電池内製が生む利益率革命

2025年9月25日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)
2025年9月25日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)

 BYDの競争力を語る上で欠かせないキーワードは「垂直統合」である。BYDはガラスとタイヤを除き、ほぼすべてを自社で生産する。電池、モーター、パワーコントロールユニット、半導体、車載OSなどを他社に委託せず内製化することが、調達コストの大幅削減につながっている。

 内製化の中核をなすのは、世界トップクラスの技術力を誇る車載電池事業だ。1994年に深センでバッテリー企業として創業したBYDは、リチウム鉄リン酸塩(LFP)電池「ブレードバッテリー」の安全性とコスト効率で高く評価されている。現在、中国CATLに次ぐ世界第2位のシェアを誇る。

 量産メーカーにとどまらず、技術開発型企業としての地位も確立している。研究開発費は395億7500万元(約8298億円)に上り、R&D人員は約10万人にのぼる。こうして開発・生産されたバッテリーは自社車両に搭載されるだけでなく、他メーカーにも供給され、サプライチェーン全体のコスト構造も掌握している。この

「電池サプライヤー兼完成車メーカー」

という二面性こそ、BYDの垂直統合モデルの特徴をさらに際立たせている。

 こうした垂直統合の成果は、粗利率23.0%という自動車業界でも高水準の利益率に現れている。2023年のEVおよびPHV販売台数は302万台に達し、前年比67.8%増という驚異的な伸びを示した。

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