テスラを抜き去った「内製化の怪物」 低価格EVで世界を席巻、完成度の高さが中国車を変えた
中国BYDが世界のEV市場で首位に立った。2023年の販売は302万台、粗利率23.0%を達成。電池から完成車まで自社生産する垂直統合モデルでコスト優位を確立する一方、海外規制対応や次世代技術開発が今後の成長を左右する。
垂直統合の限界とリスク

もっとも、垂直統合モデルは万能ではない。研究開発、設計、製造をすべて自社でまかなうことは、景気変動や需要低迷の局面では負担となりうる。
半導体業界の垂直統合企業である米Intelは、2023年に約2兆5000億円の赤字を計上した。競合のNVIDIAやAMDは設計、TSMCは製造に特化する水平分業で成果を上げたのに対し、Intelは両方を自社で担ったためコスト負担が重くなった。
BYDの垂直統合モデルも同様のリスクを抱えている。電池、モーター、半導体、車両組立などの工程を自社で完結させることは、生産設備の維持や更新コストをすべて自社で負担することを意味する。販売が好調な局面では高い収益性を確保できるが、市場が減速すれば固定費が重くのしかかる。
加えて、CATLやLGエナジーソリューション、テスラが新型バッテリーを相次いで投入し、コスト面で差が縮まりつつあることもリスクだ。BYDの技術優位が相対的に低下すれば、垂直統合による価格競争力は揺らぐ可能性がある。全固体電池など次世代技術の開発も急務となっている。