電動キックボードは「救世主」か「無法地帯」か?――田園都市線事故が暴いた都市モビリティの脆弱性を考える
田園都市線事故と混乱

2025年10月5日23時過ぎ、東急田園都市線・梶が谷駅付近(神奈川県川崎市)で普通列車が回送列車に衝突し脱線した。被害列車は所定の位置より手前で止まっていたことが原因である。幸い死者はいなかったが、運行再開には約1日を要した。
この影響で渋谷~鷺沼間の沿線は事実上通勤・通学路が遮断され、住民や企業活動にも少なくない影響が出た。運輸安全委員会の事故調査は6日深夜に一旦終了し、運転を見合わせていた渋谷から鷺沼間は7日午前0時に順次再開した。7日からは始発より平常通りの運転が行われている。
こうした緊急事態で、電動キックボードや小型電動自転車のシェアサービス「LUUP」が注目を集めた。事故翌日の6日、渋谷駅~二子玉川駅周辺のLUUP車両はほとんど貸し出され、返却可能なステーションはほぼ空になった。SNS上では「渋谷駅で返却できない」「代替手段としてLUUPが頼りになった」といった声が相次ぎ、サービスの存在感が浮き彫りになった。
しかし、利用急増は課題も露呈させた。渋谷駅周辺で車両を借りた利用者は返却場所の不足に直面し、返却できないケースもあった。また、交通ルールを守らない利用者が混在し、歩行者や他の車両との接触リスクが増えているとの報告もある。
特に電動キックボードは歩道や自転車道で安全管理が不十分だと事故の要因になり得る。都市部での利用集中に対し、供給量と返却ステーションの整備が追いついていない現状が明らかになった。ネット上には以下の声が寄せられている。
・LUUPの利便性が実証されたからといって正当化すべきではない。日常で危険な場面が多く、交通ルール無視のユーザーも横行している。無法地帯のままなら、LUUPをこれ以上増やさないでほしい。
・LUUPよりも「HELLO CYCLING」の方が普及率は高いのに、メディアがLUUPばかり取り上げるのは意図的かもしれない。雨の日が続くと、滑りやすい二輪移動には注意が必要。
・LUUP運営陣は経歴豊富なプロばかりで、政治家への働きかけにより自転車規制を進め、LUUPを日常化させようとしている可能性がある。しかし、現状では安全面の課題が多い。
・LUUP利用者は免許を持ち、特性を理解して運転すべき。会社員は就業規則を確認したほうがよい。
・LUUPは便利だが、公道で免許不要・最高速度20km・ヘルメット努力義務では無法状態になりやすい。ルールや環境を整備し、原付免許相当の制限を設ければ安全性が高まる。
・電動キックボードやLUUPは、沿線の歩行者や車両に迷惑となる場合がある。安全面のルール強化が必要。
・渋谷ではLUUPや自転車が歩道や車道で危険運転しており、罰則強化を求める声がある。
・シェアサイクルは需要集中時に返却ステーションが不足する問題がある。電動キックボードは便利な反面、借りたいけど借りられない、返却したくてもできない状況がある。
・LUUP利用者は道路交通法を無視することが多く、管理体制の不十分さが指摘されている。