「インバウンドの一部は悪質」 京都の“観光公害”止まらぬ現実――小泉氏“6000万人公約”に地元警鐘、「増えすぎるのも考えもんや」の声

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観光庁の訪日客6000万人目標が、自民党総裁選で小泉進次郎農相の公約として掲げられた。旅行業界は推進に動くが、京都市民の反応は辛らつである。観光公害の懸念が依然として根強い。

旅行業界は観光庁の方針を好機と判断

混雑が続くJR嵯峨嵐山駅の改札(画像:高田泰)
混雑が続くJR嵯峨嵐山駅の改札(画像:高田泰)

 これに対し、コロナ禍で深刻なダメージを受けた旅行業界は観光庁の方針を好機と受け止めている。旅行大手のJTBは9月、新事業戦略「訪日インバウンドビジョン2030」をまとめた。観光コンテンツ開発から海外での認知獲得、プロモーションまでを実行する意欲的な計画だ。

 名古屋、福岡など全国6か所を訪日インバウンド推進個所に設定、全国47都道府県の拠点に計150人の訪日客専門の事業従事者を置く。JTBは

「首都圏と京阪神に集中する訪日客の分散を図り、地方振興を図る狙いもある」

と説明した。

 日本経済はお家芸だった製造業が国際競争力を落としている。それに代わる新産業は生まれていない。人口減少と高齢化の進行、物価高で国内消費が先細りするなか、訪日客向け観光産業に期待したい政府の気持ちはわかる。

 しかし、観光公害を置き去りにして訪日客誘致推進に動いていいはずがない。市民の悲痛な叫びは日本人の暮らしを後回しにする政府の姿勢に疑問を投げ掛けている。

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