街中で見かける「青白バス」 実は容疑者は1人も乗っていなかった!

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都市部で目にする青白の大型バスは、容疑者を運ぶ護送車ではなく、機動隊員を輸送する人員車両だ。調達費は数千万円規模、維持管理コストも膨大で、都市の安全保障と財政負担の現実を可視化する象徴となっている。

車が示す都市治安コスト

人員輸送車(画像:写真AC)
人員輸送車(画像:写真AC)

 こうした誤解の背景には、警察活動の

・可視性
・情報不足

がある。日本では治安維持のための警察車両が日常空間に頻繁に現れる一方で、その役割や運用が市民に十分に説明されていない。結果として

「不透明な権力の象徴」

と受け止められやすい。これは警察と市民の信頼関係にも影響を与えかねない。

 経済的な側面から見ると、警察バスの存在は都市の安全保障コストを可視化するものでもある。1台あたりの調達価格は数千万円規模とされ、維持管理や燃料、人員配置を含めれば年間の負担は膨大だ。例えば東京オリンピックでは、大会期間中に全国から数百台規模の警察バスが首都圏に集結した。そのための輸送・駐車・整備にかかるコストは、警備予算全体の中でも相当な割合を占めたと推定される。

 ただし、費用対効果を考えれば課題も浮かび上がる。人口減少と財政制約が進むなかで、従来型の警備体制を維持し続けることは難しい。地方都市では、イベントや災害時のために警察バスを保有していても、平時はほとんど稼働しないケースがある。年間稼働率が低ければ、調達や維持コストとのバランスが崩れる。

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