「経営陣が無能」「技術の日産は死んだ」 ネット上に“アンチ日産”が大量発生する理由――愛と挫折の40年史が映す、ブランド不信の深層とは

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2025年、日産のEV「リーフ」販売は日本297台、米国421台にとどまり、過去の栄光と現在の戦略不明瞭さがファンの失望を招く。ネット上では「アンチ日産おじさん」が集合的批判文化を形成し、ブランド再生の難しさを浮き彫りにしている。

顧客価値と戦略の齟齬

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 日産といえば、古くからスカイラインやフェアレディZなど熱心なファン層が形成されてきた。インターネット時代以前には、前述のドラマなどに魅力的な車両を多数提供し、マスメディアを通じてブランドを醸成していた。ANOはこうした歴史的背景を参照し、オンライン上で当時の栄光を語りつつ、「かつての期待を裏切られた」という感情を下地に批判的視点を形成することが多い。

 当時に青春時代を過ごした世代は、今や65歳以上の高齢者層である。日産ブランドの象徴的な文化に共感した若者が、そのまま高齢者層に突入した形だ。1999(平成11)年から2017年までは中村史郎氏がデザインを率い、デザイン経営の強みも発揮されていた。この時代、65歳以上の層は負担能力を持つ壮年層であり、車もよく売れた。ANOはこの世代の消費行動や価値観を背景として、過去の成功事例と現在の戦略を比較し、裏切られた感情を伴った批判を行うことがある。

 コロナ禍以降、日産は軽自動車やミニバン中心のラインナップにシフトした。これにより、ブランド価値と顧客の価値観の間で齟齬が生じた。ANOはこの齟齬を敏感に察知し、SNSやコメント欄で「かつての日産はどこへ行ったのか」といった声を繰り返し発信している。

 スカイラインやフェアレディZの象徴性を好んだファンにとって、実用重視のラインナップへの変化は、

「ブランドへの期待と現実との大きな乖離」

として受け止められ、かつての期待が裏切られたという感情として積み重なる。ANOはこの乖離を理由に、個人の失望を越えた集合的批判文化の形成に寄与している。日産の顧客コミュニティー内で批判的言説が拡散するのは、ANOの書き込みがきっかけとなることも多い。現在では、オンライン上で集合的な日産批判文化として表出している印象が強い。

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