市電廃止が影響? 京都・西陣が繁華街から「地域密着の街」へ変貌した根本理由
京都市上京区の西陣は明治時代から高度経済成長期にかけて河原町と並ぶ繁華街だった。地域を取り巻く環境が変化するなか、大きく姿を変えた街を歩いてみる。
人口減少と住民の高齢化が難題に

そして今、新たな環境変化の波が西陣にやってきている。
・人口減少
・高齢化
の進行だ。市の人口は約143万人。緩やかな減少が続き、全国20の政令指定都市で8位まで序列を落とした。
このうち、上京区は人口約8万3000人。市全体と同様に緩やかな減少に入っている。大学が多く、人口の1割程度を学生が占める一方、高齢化率は2023年度で全国平均をわずかに下回る26.3%に達した。その結果、空き家や維持できなくなった京町屋が目立つなど、不安が目に見えるようになりつつある。
京都市は2019年、西陣の活性化プランをまとめ、歴史や文化の継承、商業と観光の振興などを打ち出した。「にしZINE」と題したウェブサイトを立ち上げ、地域の情報発信を続ける一方、スタンプラリーやフォトコンテストなどイベント開催に力を入れている。
地元の商店街も活発にイベントを開いているほか、西陣の伝統工芸と大手ブランドのコラボ商品開発を橋渡しする動きが出てきた。京都市プロジェクト推進室は
「西陣を活性化することで市全体の活性化につなげたい」
と意気込んでいる。西陣は再び、時代の波を乗り越えられるのだろうか。