「アドトラックの風俗広告」何が問題なのか?日給5万円に誘引される若年層・貧困層、労働市場の歪みを考える

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福岡市内で延べ202台確認、うち97%が風俗広告を掲示するアドトラック。都市景観や交通安全への影響に加え、誇張広告は労働市場や社会保障制度にも波及し、市は規制強化を検討している。

労働市場への影響

東京都が店舗等に取得を求める、新型コロナウイルスの「感染防止徹底宣言ステッカー」を宣伝するアドトラック。2020年9月8日撮影(画像:時事通信フォト)
東京都が店舗等に取得を求める、新型コロナウイルスの「感染防止徹底宣言ステッカー」を宣伝するアドトラック。2020年9月8日撮影(画像:時事通信フォト)

 性風俗業界に流入する人材は、他産業からの人手流出をともなう場合がある。介護や飲食、サービス業などでは深刻な人手不足が続いており、過度な求人広告は市場全体の歪みを拡大させる要因となる。

 さらに、広告の期待を過大に受けた

・若年層
・生活困窮層

が現実との乖離に直面すると、公的支出に依存するケースも増え、社会保障制度への負担も重くなる。

 課題解決にはいくつかの取り組みが現実的である。まず、収入モデルの透明化だ。平均的な稼働率や控除項目を広告に明示することで、広告と実態の乖離を抑えることができる。次に、自治体による監視体制の強化も求められる。条例改正と組み合わせ、虚偽や誇張広告の迅速な削除を可能にすることが重要だ。

 さらに、生活困窮層への支援も不可欠である。他産業の賃金改善や就労支援を強化すれば、特定業界への過度な人材流入を緩和できる。

 加えて、一部の自治体では広告規制と生活支援を組み合わせることで、性風俗業界への過度な依存を抑制することに成功している。こうしたモデルの全国展開が望まれる。

 ネットの声からも問題の深刻さが浮かび上がる。

「夜にアドトラックが前を走ると大音量で眩しく、横に車を停めてやり過ごすこともある。本当に規制してほしい」
「LEDの派手な広告車が主流で、投資してでも儲かる仕事になっている。過剰投資が進むと規制にも抵抗が強くなる」
「音や光が大きすぎて、他の車や歩行者の声が聞こえないこともある。安全面からも迷惑防止の観点からも問題だ」
「都心部を走ると、子どもや市民への影響が大きい。景観や風紀のことも考えると、規制強化が必要」
「車がどこにあるかじゃなくて、どこで広告を出すかで規制するのが当然。光や音の大きさも法律でちゃんと決めてほしい」

これらの声は、広告が都市景観や交通安全に与える影響だけでなく、社会的なコストや制度設計の必要性を考える上で重要な示唆となる。

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