「アドトラックの風俗広告」何が問題なのか？日給5万円に誘引される若年層・貧困層、労働市場の歪みを考える

性風俗広告の偏向問題

　アドトラックの風俗関連の広告は、一見すると自由な職業選択を促す情報のように見えるが、実際には情報が偏っており、応募者にとって不利な現実はほとんど伝えられていない。

　収入面では、広告に示される

「日給5万円以上可能」

といった表現は極めて例外的である。稼働日数や控除を考慮すれば、実際の収入は広告の半分以下となる場合も少なくない。こうした誇張表現は、労働市場や雇用情報の信頼性に悪影響を及ぼす可能性がある。

　また、ジェンダーや身体的属性の強調も問題である。多くの広告は

・若さ
・容姿
・従順さ

を前提としており、女性を商品化する視点が固定化されている。これは社会的なモラルの観点から問題であるだけでなく、長期的には労働市場の健全性を損なう要因にもなり得る。

　広告のこうした偏りは、媒体側の仕組みによって助長される場合がある。収益性やクリック率を優先するアルゴリズムにより、「高収入」を強調した広告が上位に表示され、ユーザーは偏った情報だけを目にすることになり、現実との乖離を生む。