「ドライブスルー渋滞」は誰のせい? ネットでは「道路が詰まる」「納得できない」の声、背景にある3つの構造的要因とは
ドライブスルー渋滞の現実

クルマに乗ったまま注文し、受け取れるドライブスルー。便利なサービスとして定着している一方で、週末やランチタイムになると、店舗前の道路や駐車場は列車のように長く伸びる。
近隣住民の迷惑や、交差点での渋滞が発生することも珍しくない(以下、ドライブスルー渋滞)。ネット上では
「道路が詰まる」
「後回しにされるのは納得できない」
といった声が散見され、ドライブスルー利用者と近隣住民、そして店舗運営側の間で摩擦が生じている。
ドライブスルー渋滞で、悪いのは誰なのか――。
三つの渋滞原因

「ドライブスルー渋滞」問題の構造を整理すると、原因は大きく三つに分けられる。
まずひとつめは需要と供給のアンバランスである。土日や朝晩のピークタイムには、限られた敷地内に収まらない車列ができ、公道にはみ出す。店舗側は、敷地内で最大数台停車できるよう工夫しても、利用者の多さに追いつけないことがある。
実際、ドライブスルー行列が交差点まで延び、片側車線が完全に塞がれるケースもある。これは事故のリスクを高めるだけでなく、周辺経済にも影響を及ぼす。通勤車や配送車の遅延は時間コストを生み、物流や商取引の効率を下げるからだ。
ふたつめは運用設計の限界である。多くのドライブスルー店舗は、
・注文口までの車両数を制限する
・並列注文口を設ける
・スタッフの配置を工夫する
といった対策を講じている。しかし、これも最大効率の観点では不十分だ。顧客の滞在時間を短くする「モバイルオーダー&ペイ」や「パーク&ゴー」といった事前注文制度が導入されている例もあるが、全国的にはまだ普及途上であり、利用者の習熟度にも差がある。つまり、店舗側の努力だけでは、物理的制約と需要の増大に対処しきれない現実がある。
三つめは利用者の行動である。大量購入や長時間滞在、近隣道路に列を伸ばす行為は、結果として渋滞や安全リスクを助長する。特にSNS上で指摘されているように、
「転売目的の購入が疑われるケース」
もあり、公平性や倫理面での課題も浮かぶ。利用者個人の判断が、社会全体の効率や安全に直接影響する構造となっている。