EVは「中古価格がヤバい」なんて、いつまで言ってるの? 「初代リーフ幻想」を超えた市場の最新進化とは
中古EVは「安い」という先入観が根強いが、初代リーフの残価率は数%、テスラ・モデルSでも20~30%にとどまる。バッテリー寿命や制度改革が進む今、EV価値の再定義が国内市場の成否を左右する。
バッテリー可視化と価値

解決策の輪郭は徐々に見え始めている。
バッテリーの健全度を可視化することで、車体の状況を一目で把握できる仕組みの構築が求められる。SOC/SOH(State of Charge/Health)の統一規格化も重要な課題だ。加えて、診断書付きの中古EV流通を義務化すれば、消費者は安心して中古EVを購入できるようになる。
補助制度の充実も検討に値する。欧州のオランダでは中古EV購入にも補助金支給を導入し、市場の循環を促している。さらに、残価保証の対象EVモデルを拡大し、自動車メーカーや金融機関がEV残価リスクを共有する仕組みを整備することも重要だ。
今後は頻繁に行われるソフトウェア更新に対し、市場評価を加味した品質の定性評価が求められる。「アップデート履歴」を査定基準に組み込めば、中古EVの価値を正当に評価できる仕組みが構築できる。
海外の成功事例を見ると、欧州では中古EV市場での残価率が改善傾向を示し、2024年時点ではガソリン車との差が縮小している。新車価格も同様に拮抗しつつある。中国ではLFPバッテリーを搭載したEVが高サイクル寿命を実現し、タクシー用途で高い残存価値を維持している。これにより、EVはすぐに価値が下がるという従来のイメージは薄れつつある。
国内市場では、カーシェアやリース需要が見込まれ、二次流通を前提としたEV再利用ビジネスの成長余地も大きい。中古EVが手頃な価格で入手可能になれば、新たな需要創出につながる可能性がある。