なぜ観光バスツアーは「食べ放題」ばかりなのか? 若年層も熱狂する人気プランの秘密

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食品や日用品の値上げで家計が節約志向に傾く中、観光バスツアーは予算1万円前後で複数観光地巡りや食べ放題が楽しめる庶民の味方だ。団体旅行の復活とともに、老若男女が共感する体験型レジャーとして人気が再燃している。

団体旅行と食文化変遷

食べ放題イメージ(画像:写真AC)
食べ放題イメージ(画像:写真AC)

 高度経済成長期からバブル初期までは、現在よりも団体旅行が多かった。社員旅行や自治会の団体旅行が毎年定期的に行われ、観光バスツアーが主流だった。

 当時の観光バスツアーでは、食事はあまり重視されなかった。昼食は社員食堂のような団体専用大型食堂でとり、安価なメニューが提供されることも多かった。幹事は限られた予算でやりくりし、食事の優先順位は低かった。

 当時、多くの男性の関心は「食」より

「酒」

だった。社員旅行でサロンバスを用意すると、出発と同時に後部座席は持ち込んだ酒やつまみで酒場と化す。昼食休憩のときにはすでに酔っている人もおり、女性社員や飲まない若手社員は眉をひそめた。しかし酒好きの男性社員にとっては、飲みたいだけ飲める高揚感があった。さらに夕食には宿で大宴会が開かれ、翌日は二日酔いでダウンする人も多かった。

 観光バスツアーの利点のひとつは、観光施設や昼食場所、宿の前まで直接乗り入れてくれることだ。人目にあまり触れず、長く歩く煩わしさもない。二日酔いならバスのなかで寝ていればよい。この点は現在の食べ放題ツアーにも共通する。満腹でもすぐにバスに乗り、次の目的地に連れて行ってくれる。

「飲んで、飲んで、飲みまくる」
「食べて、食べて、食べまくる」

と、日頃のうさを気兼ねなく晴らせる高揚感は、過去も現在も変わらないのかもしれない。

 近年は大手ファストフードチェーンでも食べ放題が増え、人気は拡大している。一方で、意識の高い層からはフードロスなどSDGs(持続可能な開発目標)の観点で疑問視する声もある。最近は取り皿に残すと罰金を課すなどの対策もあるが、食べ放題の時間中は食材を切らせないため、残ったものの扱いが気になる。しかし、高額食材を頻繁に食べられる人は少なく、食べ放題は一般消費者のたまの贅沢だ。対応策を講じてもらい、多少は大目に見てもらいたい。

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