『グランツーリスモ』が影響!? 若者の“実車離れ”はなぜ進んだのか――ネット指摘をデータで検証する
バブル期の若者は給与15~18万円で300万~500万円の車を購入した。1997年以降、グランツーリスモなどの仮想体験が実車消費に影響したというのは本当か。所得停滞と技術変化が若者のカーライフを変えた実態に迫る。
仮想体験の経済的影響と示唆

1991(平成3)年以降、バブル崩壊による所得停滞、雇用環境悪化で車購入に回せる可処分所得は減少した。1991年の平均年収は446万6000円、1997年は467万3000円である。数値上は1997年がピークだが、給与はほとんど増えない状況が続いた。
こうしたなか、グランツーリスモのような仮想体験は、低コストで所有欲を満たす手段となり得た。実車購入の減少は、保険・ガソリン・整備・免許取得といった自動車関連消費にも直結し、地域経済や産業構造への影響も想定される。eスポーツの広がりを考慮すれば、影響はさらに大きくなる。
長引く不況で給与が増えず、維持費も考慮して実車を購入しない若者が増える現状は無視できない。ゲーミング環境自体は悪いものではないが、仮想体験ばかりが進むと経済循環に直接寄与しない。結果として、若年層のカーライフ消費市場は縮小する。
一方で可能性もある。デジタル化に対応した新しい車体験、サブスクサービス、eスポーツイベントなどと実車の融合により、産業側が価値提供を変化させれば市場拡張も可能だ。若者の実車離れとバーチャル体験の浸透は、モビリティ消費の多様化として捉えられる。交通教育に仮想体験を取り入れ、長期的に自家用車購入を促すことも考えられる。
自動車産業は、従来の所有モデルに加え、バーチャル体験も含めた多角的戦略を検討する必要がある。グランツーリスモの事例は、現在の需要動向を読み解くヒントになる。