『グランツーリスモ』が影響!? 若者の“実車離れ”はなぜ進んだのか――ネット指摘をデータで検証する

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バブル期の若者は給与15~18万円で300万~500万円の車を購入した。1997年以降、グランツーリスモなどの仮想体験が実車消費に影響したというのは本当か。所得停滞と技術変化が若者のカーライフを変えた実態に迫る。

バブル期の若者消費と実車購入

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 いわゆるバブル経済期(1986年12月~1991年2月)では、1988(平成63)年頃から一般市民も好景気を実感していた。株価や不動産価格の上昇に加え、個人資産も増大し、社会全体が従来にない景気のよさを感じていた。しかし大学新卒の初任給は15万~18万円程度にとどまり、決して高水準とはいえなかった。

 一方、バブル期の国産高級車や外車は300万~500万円の価格帯であり、20代の若者が給与だけで購入できる水準ではなかった。多くは親の援助やローンに頼らざるを得なかった。家族や金融機関の支えを前提とする購買行動は当時すでに一般的だった。

 日本企業の給与は、長く働いた分の恩恵として40代以上で大幅に上昇する場合が多く、バブル期の経済恩恵を実感したのは実際には40代以上だった。若者世代は親の給与に支えられる形で車を購入していたのが実情である。

 1991(平成3)年度後半、バブル経済が崩壊する。企業は採用を抑制し、非正規雇用で新卒者を受け入れざるを得ない状況が増加した。『初代グランツーリスモ』が発売された1997年の大学卒初任給は男性19万3900円、女性18万6200円であるが、給与は上がらず不安定で、賞与も期待できない非正規・有期雇用が増加した。その結果、車と縁遠くなる若者が増えた。

 国内乗用車新規登録台数は、1992年の432万3254台から1997年の426万5186台と約6万台減少した。一方、運転免許取得者数は6417万2276人から7127万1222人に増加している。免許取得者は増えたものの、新車を購入できず、中古車やリース、家族共用で済ませる若者が増えていたことがわかる。

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