「見栄っ張り」「品性に欠ける」 ネットで“残クレアルファード”を叩く人が、壮大なブーメランを食らう根本理由
ネット偏見と市場誤解
実際の市場データや金融商品の実態は、ネット上の批判ではほとんど無視されている。アルファードはリセールバリュー(再販価値)が高く、2024年には2019年購入車が新車価格の約8割で売却された例もある。残クレの金利負担があっても、供給制約や中古車市場の高騰によって相殺され、資産形成に寄与する可能性さえある。さらに、法人需要や輸出需要も価格を支える要因となっている。にもかかわらず、ネット上では
「手取り20万円で残クレ」
「ドンキ(ドン・キホーテ)しか行けない」
「破産する」
といった言説が拡散されている。こうした批判はしばしば、自らの経済的不満や価値観を他者に「投影」する行為となる。心理学でいう「投影」とは、フロイトが提唱した人間の防衛機制のひとつである。自分の
・受け入れがたい感情
・不快な面
・欠点
を相手に映し出し、あたかも相手が持っているかのように認識するのだ。こうした心理が、根拠の薄い批判や偏見を生み、フィルターバブルとエコーチェンバーで加速され、オンライン空間での議論を歪める要因となっている。
残クレアルファード批判は、この投影がネット空間で可視化され、他者の消費行動を「馬鹿げている」「浪費だ」と評価することで自己正当化がなされる典型例といえる。この結果、正しい市場理解が阻害され、合理的な選択肢を狭めることになる。この状況に対して、
・金融商品の透明性向上
・金融教育の普及
・プラットフォーム運営の情報健全化
が不可欠である。具体的には、残価ローンの仕組みや車両資産価値の変動を可視化すること、学校教育や社会教育で資産形成の基礎知識を体系的に教えること、そしてSNSや動画プラットフォームで偏見や誤情報が拡散されない仕組みを整えることが求められる。
前回の記事には“典型的な反論”も寄せられた。それは
「アルファードやヴェルファイアに乗っている人は質が良くない」
「運転者の多くが品性に欠けるから馬鹿にされる」
「ただ乗れればいい、見栄を張りたい人が多い」
「残クレ購入者は深く考えていない」
という四点である。一見もっともらしく思えるが、いずれも感情的前提に依拠しており、事実や数値で裏付けられていない。これもまた、投影によって生まれた認識の歪みといえる。ここに論理の矛盾が存在する。