航続距離が100kmも減少! 深刻なEV「エアコン問題」――その最新解決策とは?
EVの航続距離を左右する空調効率に注目が集まる。トヨタ紡織の「サーマルコンフォートシート」はシート自体で冷暖房を制御し、従来比1割~2割減少していたEVリーフの航続距離低下を抑制可能だ。さらにダイキンの新型冷媒「R-474A」は暖房・冷房効率を40%向上させ、寒冷地でも外気マイナス30℃下で高性能を維持。空調技術の進化がEVの実用性と環境負荷低減を同時に支える。
個別空調シートの革新

車の冷暖房は快適な車内環境を維持するうえで欠かせず、特に真夏の猛暑では冷房なしでは命に関わることもある。しかし車の空調はエンジンなどを動力源としており、使用すれば燃料消費が増え、環境性能にマイナスの影響を与える。そのため、乗員ごとに効率的に空調を提供する「個別空調」の開発が進められている。個別空調は、車内の広い空間全体ではなく、乗員ひとりひとりに集中して冷暖房を届ける仕組みだ。トヨタ紡織が開発中の「サーマルコンフォートシート」は、シート自体に冷暖房機能を備え、効率的な空調を実現する技術として注目されている。
従来のシートヒーターやシートベンチレーションは快適性向上の高級装備だったが、サーマルコンフォートシートは特に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など電動車向けに設計され、空調の効率化を目的としている。
このシートには、温感・冷感を高める複数の機能が備えられている。暖房機能としてシートヒーター、首元への温風送風、空気袋を加圧して密着度を高めるニューマチックシステムを搭載する。冷房機能としてはシートベンチレーション、首元への冷風送風、空気袋の減圧による冷感向上、吸水速乾性のあるファブリック生地を採用している。
特にニューマチックシステムはユニークで、
「季節や状況に応じて空気袋の膨張・収縮を制御する」
ことでシート形状を変え、冷感や温感を高める。こうした技術が実用化されれば、車内全体の空調比率を下げ、効率的で集中的な空調が可能となる。