まるで「飛行機の墓場」? 米国の砂漠に数百機が放置される根本理由
- キーワード :
- 飛行機
地平線まで飛行機が並ぶ砂漠保管施設は、世界の航空資産を支える重要拠点だ。1機数十億円の設備投資を守りつつ、再稼働可能な資産として維持。コロナ禍の需要激減でも数百機が砂漠で温存され、航空業界の資本効率とサプライチェーンの安定化に貢献している。
航空機保管の砂漠戦略

砂漠は人間にとって過酷な環境だが、航空機の保管には理想的な場所である。
降雨量が少なく湿度も低いため、腐食の進行を遅らせられる。特に内陸部は海風の影響が薄く、塩分による錆や電気系統の劣化を抑制できる。
乾燥した環境は生物の生息も少なく、鳥や虫が巣を作るリスクも低い。さらに土地利用が限られ未開発のため、土地費用も安価なのがメリットだ。
砂漠のなかでも、アルカリ性で地盤が硬く安定している地域が好ましい。舗装が不要なため、航空機の搬入が容易になる。
ただし砂漠ならではの課題も存在する。風により細かな砂が舞い上がり、エンジン内部やセンサーに侵入する恐れがある。粉塵の侵入を防ぐため、適切な密閉処理と定期点検は必須である。
空気の乾燥と強い日差しによる熱も無視できない。遮熱コーティングがないと、機内温度が上昇し配線や内装材が劣化する可能性がある。そのため熱反射材で機体を保護する。
加えて自然災害リスクにも備える必要がある。雷雨や強風、砂嵐などの突発的な気象変化で機体が損傷を受ける恐れがある。
長期保管する航空機の安全確保と再稼働を円滑に行うためには、継続的なメンテナンスと管理体制が欠かせない。