「ハイブリッド回帰」は一時の逃避か? 本当に備えるべきは“エネルギー多様化”と“地政学リスク”への耐性だ

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ZEV規制撤回の波紋が広がる米国。最大7500ドルの税控除終了でBEV市場が揺らぐなか、日本メーカーはHV戦略への回帰と電動化投資の見直しを迫られている。政権交代リスク、インフラ遅延、国際競争力低下――政策依存の限界が今、問われている。

誤算からの戦略修正

2025年6月25日発表。主要12か国と北欧3か国の合計販売台数と電気自動車(BEV/PHV/FCV)およびHVシェアの推移(画像:マークラインズ)
2025年6月25日発表。主要12か国と北欧3か国の合計販売台数と電気自動車(BEV/PHV/FCV)およびHVシェアの推移(画像:マークラインズ)

 国際的に見れば、日本のBEVは競争で後れを取っている。上では柔軟な棲み分けを提案したが、政策や制度に翻弄されるのであれば、それを前提とした可変性のある事業設計が重要となる。

 日本メーカーは、リスクや環境変化に目を向けた柔軟な低公害車戦略を描くことが不得手だ。長期的に見れば、カリフォルニア州のZEV規制撤回は、

「過度なBEV偏重への警鐘」

とも捉えられる。ただし、BEVそのものが否定されているわけではない。中国のようにBEV化を推進する国もあり、BEVは明らかに内燃機関車からの技術革新といえる。

 繰り返すが、政策や制度、経済、そして価値観に翻弄される可能性があるからこそ、

「HVへの回帰」

ではなく、エネルギー多様化と地政学的変動を踏まえた戦略設計が求められる。今、日本メーカーには、誤算のなかで修正力を持てるかが問われている。発想の転換が期待される局面にある。

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