「静かすぎる」EVの代償――最新研究が暴いた警報音トラブル、「音の死角」を考える
EVやHVの静音性が安全課題を生む中、スウェーデン・チャルマース工科大学の最新研究が示したのは、複数台のAVAS警報音の識別困難性だ。52人の被験者を用いた実験で、同時発生する警報音の方向特定は極めて難しく、内燃機関車のエンジン音に比べ認識性が劣る実態が明らかとなった。今後は実環境で聞き分けやすい新警報音の開発と早期実用化が急務となっている。
EV急増時代の警報音対策

電気自動車(EV)やモーター走行時のハイブリッド車(HV)は、内燃機関車に比べて走行時の音が格段に静かである。そのため、歩行者や自転車に気づかれにくいという安全上の課題がある。この問題に対応するため、低速走行時には車両接近通報装置(AVAS)が作動し、警報音を発する仕組みとなっている。
現在のEVおよびHVは、国際規格に基づいた音響警報システムを採用している。例えば、欧州、中国、日本では、時速20km未満で走行する車両に対し、歩行者や自転車がその存在を認識できるよう、音またはノイズの発信が義務付けられている。一方、米国ではその上限速度は時速30kmと定められている。
EVの普及が進むなか、街中で複数のEVに囲まれる場面も増えてきた。つまり、同時に複数のAVASが作動し、警報音が重なる状況が現実のものとなりつつある。我々の聴覚は、こうした音の重なりのなかで、それぞれの車両の位置を正確に把握できるのだろうか。静音性というメリットの裏で、新たな課題が浮かび上がっている。