「静かすぎる」EVの代償――最新研究が暴いた警報音トラブル、「音の死角」を考える

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EVやHVの静音性が安全課題を生む中、スウェーデン・チャルマース工科大学の最新研究が示したのは、複数台のAVAS警報音の識別困難性だ。52人の被験者を用いた実験で、同時発生する警報音の方向特定は極めて難しく、内燃機関車のエンジン音に比べ認識性が劣る実態が明らかとなった。今後は実環境で聞き分けやすい新警報音の開発と早期実用化が急務となっている。

試験環境と実交通の乖離問題

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 スウェーデンのチャルマース工科大学の研究チームは、2025年3月に『The Journal of the Acoustical Society of America』で新たな研究結果を発表した。

 歩行者は、複数のEVやHVが近くを走行している場面で、それぞれの警報音を聞き分けにくい。どの方向から危険が迫っているのか、何台の車がいるのかを判断できないことが報告されている。

 同大学建築土木工学部の博士課程に所属するレオン・ミュラー氏は、スーパーマーケットの駐車場を例に挙げた。現在は、同じAVASを搭載した類似車両が、異なる方向から同時に走行することも珍しくない。そうした環境下では、AVASの音が識別されにくく、メーカーにはより認識されやすい音の開発が求められているという。

 音響学教授のヴォルフガング・クロップ氏は、車両ごとに個性的な警報音の設計は可能だとした。ただし、現在の試験環境は背景雑音の影響を考慮していないケースが多い。実際の交通環境では、さまざまな雑音が入り交じっており、AVASの効果が十分に発揮されない可能性があると指摘している。

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